コンサルティングファームの面接ではどのようなことが問われるのでしょうか。今回はよく聞かれる4つの質問をご紹介します。
【質問1】「仕事上、一番失敗したことは?その失敗から学んだことは?」
- この質問で評価されること
- 原因分析に関する論理的思考力
- 仕事に対する主体性
- 粘り強く物事に取り組めるか
- 成長意欲
- ストレス耐性
この質問は、「どういったことにチャレンジしたか」、「その中で何が起こったか」、「原因はなにか」、「原因に対してどのような策を講じたか」「この失敗から何を学んだか」といった一連の情報を整理立てて説明できるかを確認することで、以下のような点を評価する質問です。
コンサルティングの本質は問題発見とその解決策の提示であり、問題をどのように定義して、それに対応する原因をどれだけ論理的に分析できるかは、コンサルタントの必須の能力となります。この質問のなかで、筋違いな失敗例を出してきたり、論理的な分析に基づかない原因を抽出している場合、論理的思考力が低いとみなされ、結果的にコンサルタントとして活躍する可能性は低いと判断されるでしょう。
また、原因を分析するにあたっては、必ず自身に起因することに結論付けるようにしましょう。他者や環境の責任にしていては、自身の成長につながりませんし、いざというときに「自分は悪くない」と逃げ出す人間と判断されてしまいます。そもそも、他者や環境が悪いとしても、自身の努力で改善できる部分はないのか、悪い中でもベストを尽くせたのか、など、主体的に業務を行っているならば当然考えるべきこととみなされますので、他者や環境の責任にしている人は、コンサルタントに必須のマインドである主体性がないと判断されます。
ここまで失敗の原因分析の話でしたが、「失敗したので諦めました」では、自身の成長につながらないうえ、クライアントに価値を提供できません。失敗でくじけないようなストレス耐性や、失敗を糧に前進させていく粘り強さがコンサルタントにとっては重要なので、失敗への対策や得た学びなどもきちんと説明できるようにしておく必要があります。
なお、失敗にもレベルがあり、質の低い失敗(普段の業務のケアレスミスなど)を出してくる応募者には、「これが一番の失敗ということは、とんでもない注意力不足か、失敗しないように簡単な業務しかやらず、しかもそれを良しとしてきたんだな」と判断する場合があります。これは、社会人の最低限のレベルが欠けているということと同義になるので、質の低い失敗を言わないようにしましょう。
- この質問への回答は以下のようなポイントをおさえながら話すといいでしょう。
- なるべくチャレンジングな試みをしようとした事例を持ち出す
- 失敗してしまった原因を洗い出して、重要度をつけて提示する
- クリティカルな原因に対して、その時講じた解決策を提示する
(その時にその解決策を実施できなかった場合は、「今思うと…」で提示) - この失敗からの学びもきちんと示す
【質問2】「将来なりたい人物像とそこに近づくために今やっていることは?」
- この質問で評価されること
- 志望度の高さ
- 成長意欲
- 思考の柔軟性
この質問は、志望動機を聞くという側面と自己PRを聞くという側面の2つの側面がある質問です。
まず志望動機についてですが、面接官はより自社への志望度が高い求職者を求めます。ただ、直接的に聞いたところで、「志望度は高いです」といわれるに決まっているので、間接的に志望動機の確からしさを検証しますが、その一つがこの質問です。これは、長期的なキャリアプランをどう考えていて、その中で、この会社に入る意義はどのようなものなのか、ということを確認しています。意義があるように思えれば、志望度が高いように判断されますし、むしろ他社の方が目標への近道なのでは?と思われてしまえば、志望度が低いと判断されます。また、その目標に対する行動を取っていれば、口だけの目標ではないと判断できるので、より志望度の高さを確認することができます。
他方、どういった理想があって、どれだけ理想に向かって実際の行動を起こせているかを確認することで、成長意欲を問います。コンサルタントが問題を解決し続けるためには、日々の成長が不可欠です。そして、成長のためには、高い目標を持ち、その目標に近づくための行動を実際に起こすことが必要となります。きちんと高い目標を持ち、それに向かって行動を実際に起こしているということが面接官も認識できれば、成長意欲アリと判断されます。
そして、目標に対する行動は将来像に対して如何に有益であるか・クリティカルである行動かを論理的に語る必要があります。特に、なぜその行動を取るのか、他の方法はないのか、といったこともきちんと考えているのかは問われます。これは志望度の高さを確認するとともに、目的に対する手段の検討にあたっての思考の柔軟性を確認しています。
- この質問への回答は以下のようなポイントをおさえながら話すといいでしょう。
- 目指す将来像と、応募するコンサルファームに入ることが論理的につながっているようにする
- 将来像へ近づく行動に優先順位をつけて提示し、今、実際にどのような取り組みを行っているかを具体的に示す
- 目的に対する行動の一つとして、応募するコンサルファームで取り組めるであろう業務を盛り込んで一貫性を持たせる
【質問3】「自分の意志で新しい仕事に取り組んだ経験は?」
- この質問で評価されること
- 仕事に対する主体性
- 成長意欲
- 思考の柔軟性
この質問は、自分の力を伸ばすためにできることを考えて、そのフィールドを広げる試みを自らしてきたか、またそこで適応し成果を上げてきたかを問う質問です。
コンサルティングファームではプロジェクトごとに、それまで取り組んできたとは違った分野でアウトプットを出し続ける必要があります。また、基本的にそのためには変化を恐れず、自らチャレンジし、自身を適応させていくことが不可欠となります。上司から与えられる仕事だけを盲目的に取り組んできた人やずっと同じ業務を繰り返して活躍の場を広げようとしてこなかった人は、主体的に業務に取り組んできたとは思われず、また成長意欲が不足していると見られる場合があります。
また、環境が変われば、往々にしてそれまでの思考回路や勤務態度ではうまくいかない場合もあります。そういった中で、どういった部分を変えていったのか、どのように変えたのか、といったことをきちんと説明できると、柔軟な思考ができる人だと判断されるでしょう。
なお、これは必ずしも部署異動を伴うものでなくても構いません。また、会社全体に変革を起こすようなものでなくても構いません。部署内あるいは班やチームの中で、業務を少しでも効率化させたり、ミスを減らしたりする取り組みを提案・行動した、というようなものや、新プロジェクトを行うことになったので、手を上げてメンバーに入れてもらい、チームメンバーとして活動した、というもので問題ありません。
- この質問への回答は以下のようなポイントをおさえながら話すといいでしょう。
- 自分の働く環境や仕事を主体的に変化・拡大させてきた事例(大きな変化でなくても構わない)を示す
- その変化にチャレンジした理由をなりたい理想像に結びつけながら話す
- 新しい仕事に適応するにあたっての苦労やそこから学んだことを具体的に話す
【質問4】「業務の中で他の人を動かした経験は?」
- この質問で評価されること
- コミュニケーション能力
- ストレス耐性
この質問は、他者を巻き込みながら価値を作り上げていく力があるのかを問う質問です。
コンサルティングはクライアントあっての仕事です。そしてクライアントというのは協力者であるものの、必ずしも利害は一致しておらず、働き方も同じとは限りません。その中で、コンサルタントはクライアントに協力してもらいながらプロジェクトを進めていく必要があります。また、クライアントのために、自社内の人間にも適宜協力を仰ぐ必要が出てくる場合も少なくありません。 したがって、他者をきちんと動かすためのコミュニケーション能力は当然必要になります ここでいうコミュニケーション能力は、単に仲良くなる力や会話を弾ませる力ではなく、相手の考え方や理解力などを踏まえながら自分が相手にやってもらいたいことを伝え、実際に動いてもらうために、適切な事項を適切な方法・表現で伝える力です。
また、他者を巻き込もうとすると、基本的に自分の思い通りにはいきません。そういった苦労の中で生まれるストレスに耐性があるかも重要な要素です。そういったストレスにどのように対処したかもきちんと話すようにしましょう。
なお、ここでいう他者は、社外の人間でなくても構いません。また、上司部下や先輩後輩などの指揮命令関係ではなく、フラットな関係の方を巻き込んだ事例の方がよいでしょう。自分より下の人間が自分の指示に従うのは当然だからです。
- この質問への回答は以下のようなポイントをおさえながら話すといいでしょう。
- どのような経緯で他者を動かさなければならなくなったのか
- どのような方法・表現で説得にあたったのか
- そのような方法・表現を採用したのはなぜか